特定技能制度を利用して外国人人材の確保・雇用を検討している企業の方にとって、特定技能ビザを取得するための要件を知っておくことは非常に大切な事です。特定技能ビザには1号と2号がありますが、ここでは、特定技能1号ビザを例に、具体的にどのような要件や基準を満たす必要があるのかについて、確認してみましょう。
このページの目次
1.特定技能に関する基準
特定技能1号ビザを取得するためには、大きく見て次の4つの基準を満たしておく必要があります。
・特定技能外国人に関する基準
・特定技能雇用契約の内容の基準
・特定技能雇用契約の相手方の基準
・1号特定技能外国人支援計画に関する基準等
一つでも基準を満たしていない項目がある場合、特定技能1号ビザを取得することができなくなるため、注意が必要です。
この記事では、特定技能雇用契約の内容の基準について、詳しく見ていきたいと思います。
2.特定技能雇用契約の内容の基準
特定技能雇用契約の契約書には、一般的な雇用契約の内容に加え、差別的な待遇がないことや特定技能外国人が一時帰国を希望した場合の扱いなどを記載しておく必要があります。
雇用契約書は日本語ではなく、契約を結ぶ特定技能外国人が理解できる言語で作成する必要があります。契約を結ぶ外国人労働者の母国語や英語を用いた雇用契約書を作成しましょう。
特定技能雇用契約の内容の基準は下記の通りです。
①従事させる業務に関するもの
②所定労働時間に関するもの
③報酬等に関するもの
④一時帰国のための有給休暇取得に関するもの
⑤派遣先に関するもの
⑥帰国担保措置に関するもの
⑦健康状況その他の生活状況把握のための必要な措置に関するもの
⑧分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの
各項目について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
①従事させる業務に関するもの
1号特定技能外国人については、相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能として分野別運用方針及び分野別運用要領で定める水準を満たす技能を要する業務に従事させるものでなければなりません。
②所定労働時間に関するもの
特定技能外国人の所定労働時間は、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であることが求められます。
「所定労働時間」とは、雇用契約や就業規則で定められた労働時間(休憩時間は含まない。)をいいます。
「通常の労働者」とは、いわゆる「フルタイム」で雇用される一般の労働者をいい、アルバイトやパートタイム労働者は含まれません。「フルタイム」とは、原則、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいいます。
③報酬等に関するもの
特定技能外国人の報酬の額は、同等の業務に従事する日本人労働者の報酬の額と同等以上であることが求められます。特定技能外国人に対する報酬の額については、外国人であるという理由で不当に低くなるということがあってはなりません。
④一時帰国のための有給休暇取得に関するもの
特定技能外国人から一時帰国の申出があった場合は、事業の適正な運営を妨げる場合等業務上やむを得ない事情がある場合を除き、何らかの有給の休暇を取得することができるよう配慮が求められます。
「業務上やむを得ない事情」とは、特定技能外国人が担当する業務が他の労働者が代替することが不可能な業務であって、休暇取得希望日に当該外国人が業務に従事しなければならないことについて合理的な理由がある場合をいいます。
⑤派遣先に関するもの
特定技能外国人を労働者派遣法又は船員職業安定法に基づき派遣労働者として雇用する場合は、当該外国人の派遣先及び派遣の期間が定められていなければなりません。
特定技能外国人を派遣形態で雇用することができる分野は、「農業分野」及び「漁業分」に限られています。
⑥帰国担保措置に関するもの
特定技能外国人が特定技能雇用契約の終了後に帰国する際の帰国費用については本人負担が原則となります。特定技能外国人がその帰国費用を負担することができない場合は、特定技能所属機関が帰国費用を負担し、円滑に出国できるように必要な措置を講ずることが求められます。
「必要な措置」とは、帰国旅費を負担することのほか、帰国のための航空券の予約及び購入、帰国するまでに必要に応じて行うべき生活支援を含む措置を講ずることをいいます。
⑦健康状況その他の生活状況把握のための必要な措置に関するもの
特定技能外国人が安定的に日本で就労活動を行うことができるよう、健康状況その他の生活状況を把握することが求められます。
⑧分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの
特定産業分野ごとの特有の事情に鑑みて個別に定める基準に適合していることを求められます。分野によっては告示で基準を定めていない場合もあります。告示で基準が定められている場合であってもその内容は分野ごとに異なります。
分野ごとに定める書類はこちらをご参照ください。 ⇒ 出入国在留管理庁 特定技能運用要領
3.まとめ
この記事では、特定技能1号ビザを取得するための特定技能雇用契約の内容の基準について確認しました。
特定技能ビザは、人手不足解消のための人材確保を目的としたビザという性質上、今後も受入れが拡大していくことが予想されます。技能実習生からの移行も更に加速すると思われます。
このサイトでは、特定技能制度を利用して外国人人材の確保・雇用を検討している企業様に向けて、様々な情報を発信しております。引き続き他の記事もチェックしてみてください。
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。