特定技能「漁業分野」で外国人を受入れる方法

特定技能1号ビザで外国人を受け入れるときには、全ての分野に適用される「分野共通の基準」と、各分野に特有の事情に鑑みて定められた基準である「上乗せ基準」と呼ばれる基準にも適合していなければ、外国人を受入れることはできません。

「分野共通の基準」に関する記事一覧
特定技能1号ビザを取得するための要件(特定技能外国人に関する基準)
定技能1号ビザを取得するための要件(特定技能雇用契約の内容の基準)
定技能1号ビザを取得するための要件(特定技能雇用契約の相手方の基準)
定技能1号ビザを取得するための要件(1号特定技能外国人支援計画に関する基準等)

令和6年8月現在、「上乗せ基準」は12の分野について設定されており、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」といった新たに追加される分野についても、今後、準備ができ次第設定されていく予定です。

この記事では、特定技能「漁業分野」で、特定技能1号ビザを取得して外国人を受け入れる時の要件や受入れまでのフローについて、ポイントとなる部分について分かりやすく解説したいと思います。このような外国人の受入れを検討されている方のお役に立てれば幸いです。

特定技能「漁業分野」の上乗せ基準

主な「上乗せ基準」
・受入れ機関が、漁業分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員であること

受入れ機関は、12の分野ごとに設置された協議会に加入する必要があります。令和6年6月15日以降、受入れ機関は、事前に協議会に加入申請し構成員となっておくことが義務付けられていますのでご注意ください。

受入れ機関から支援の委託を受けている登録支援機関については分野ごとに異なり、漁業分野では加入は不要です。

また、漁業分野では派遣形態で外国人を受入れることができます。

【派遣事業者の要件】(運用要領別冊 第3)
漁業分野において派遣形態により特定技能外国人を受け入れることができる派遣事業者は、以下の①~③のいずれかに該当し、かつ、法務大臣が農林水産大臣と協議の上で適当であると認められる者です。

① 漁業又は漁業に関連する業務を行っている者であること
② 地方公共団体又は①に掲げる者が資本金の過半数を出資していること
③ 地方公共団体の職員又は①に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体又は①に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者であること

特定技能「漁業分野」の協議会構成員になる方法

特定技能「漁業分野」の協議会構成員になろうとする場合の申請書類は、以下の農林水産省(水産庁)のウェブサイトから申請様式をダウンロードすることができます。

農林水産省(水産庁)
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/tokuteikyogikai.html

構成員になるため、加入申請書(別紙様式第1-1号及び第1-2号)に記入の上、必要書類を添えて、以下の2号構成員と呼ばれるいずれかの団体に提出します。

一般社団法人大日本水産会
全国漁業協同組合連合会
一般社団法人全国いか釣り漁業協会
一般社団法人全国近海かつお・まぐろ漁業協会
一般社団法人全国底曳網漁業連合会
一般社団法人日本定置漁業協会
一般社団法人全国まき網漁業協会
全国かじき等流し網漁業協議会
全国金目鯛底はえ縄漁業者協会
全国さんま棒受網漁業協同組合
海士町
一般社団法人全国海水養魚協会
一般社団法人全日本持続的養鰻機構
全国真珠養殖漁業協同組合連合会
全国内水面漁業協同組合連合会
全国海苔貝類漁業協同組合連合会
長崎県
一般社団法人全日本錦鯉振興会

特定技能「漁業分野」の技能試験

特定技能1号ビザを取得するためには、漁業分野で従事しようとする業務に必要な相当程度の知識又は経験を必要とする技能を有していることの証明として、1号漁業技能測定試験に合格することが必要です。1号漁業技能測定試験には、「漁業区分」と「養殖業区分」の2つの試験があります。

試験日程、申込方法、その他情報は、以下の一般社団法人大日本水産会のウェブサイトで確認をすることができます。
⇒ https://suisankai.or.jp/skill/

特定技能1号ビザの日本語試験

特定技能1号ビザを取得するためには、上記の技能試験に加えて、日本語能力を確認するための試験にも合格する必要があります。特定技能1号ビザの取得には、日本語能力試験(JLPT)でN4以上、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA2以上での合格が必要です。

「日本語能力試験 | JLPT」
https://www.jlpt.jp/index.html

「JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト」
https://www.jpf.go.jp/jft-basic/index.html

技能実習から「漁業分野」の特定技能1号ビザへの移行

「技能実習」から「特定技能」への移行の要件は以下の2点です。この場合に、上記の漁業分野の技能試験と日本語試験が免除されます。

①技能実習2号を良好に修了していること
②技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること

①について、「技能実習2号を良好に修了している」とは、技能実習計画に従って2年10月以上修了していることをいいます。

②について、特定技能の業務と関連がある技能実習の作業名は次の通りです。

特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業)
漁業 漁船漁業 かつお一本釣り漁業
延縄漁業
いか釣り漁業
まき網漁業
ひき網漁業
刺し網漁業
定置網漁業
かに・えびかご漁業
養殖業 養殖業 ほたてがい・まがき養殖

技能実習時と異なる業務を行う場合でも、技能実習2号を良好に修了している場合には、日本語試験が免除されます。

特定技能「漁業分野」における外国人受入れまでのプロセス

1号特定技能外国人を受け入れるプロセスに関して、水産庁のスライドが分かりやすくまとめられていますので、参照してみてください。

特定技能「漁業分野」における外国人受入れまでのフロー

水産庁資料より https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/attach/pdf/tokuteiginou-29.pdf 

まとめ

この記事では、特定技能「漁業分野」で、特定技能1号ビザを取得して外国人を受け入れる時の要件や受入れまでのフローについて、ポイントとなる部分について分かりやすく解説してきました。

もっと詳しい情報が知りたいという方は、以下の農林水産省(水産庁)のウェブサイトを参照してみてください。

⇒ 水産庁 在留資格「特定技能」による新たな外国人材の受入れ

特定技能ビザの申請は、事前に各分野の協議会への加入が必要であったり、分野ごとの上乗せ要件に対応する必要があったり、事前準備がとても複雑です。また、特定技能ビザを申請するための申請書や必要書類の数も多く、本業でお忙しくされているお客様にとって、このような申請書の作成や必要書類の収集は、非常に煩わしく負担の大きい作業と言えます。

このような申請に係る必要書類を適切に作成することはもちろん、ご要望に応じて特定技能の受入れ準備のコンサルティングや各種手続きも、専門の行政書士に安心してお任せいただけます。登録支援機関や特定技能外国人の雇用を検討中の経営者の方、ご担当者の方、お困りの方、まずは気軽にご相談下さい。

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。

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