相談内容
技術・人文知識・国際業務の在留資格で、正社員として市内の企業に勤務し、もうすぐ8年になります。仕事の内容は、通訳、翻訳業務です。近い将来、本国の企業に転職し、今と同じ内容の仕事をする予定ですが、日本での生活を気に入っており、このまま日本に滞在しながらリモートワークで仕事をしたいと考えています。今の在留資格のままだと、問題がありますか?
コロナウィルス感染症拡大防止のため人と人との接触を極力減らすことが求められ、そうした制約下でも経済活動を回していくため、リモートワーク(テレワーク)の導入が一気に進みました。コロナ禍がなければ、もっと時間がかかったかもしれない変化が、数年の間にあっという間に進みました。
このように、外国人の方が海外の会社に就職し、リモートワークで仕事をしながら日本で生活することは、今や技術的には可能となりましたが、入管法上、適法に在留することは可能なのでしょうか?
技術・人文知識・国際業務の在留資格について
技術・人文知識・国際業務の在留資格を取得しようとする外国人は、その在留資格で行おうとしている活動内容が、入管法が規定している「技術・人文知識・国際業務」の活動内容の範囲内である必要があります。活動内容が合致していない場合は、その在留資格は取得できません。
技術・人文知識・国際業務の在留資格の場合、活動範囲は次の通りです。
【技術・人文知識・国際業務】【本邦において行うことができる活動】
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)
先ず、転職先で従事する仕事内容について、今の会社で従事している仕事と同じ内容で、かつ、前職と同等以上の給与を得ていれば、問題がないケースが多いのも確かです。しかし、あくまでも現在の会社に関して審査をしてもらい取得した在留資格ですので、新しい会社でも必ず認められるとは限りません。
念のため、今の在留資格で、適法に転職先の仕事をすることができるかどうかについて確認しておきたい場合は、就労資格証明書を取得することをお勧めします。この証明書を取得することによって、新しい会社での仕事内容が、現在の在留資格に対応しているかどうかの確認ができます。就労資格証明書が発行されたということは、今の在留資格で転職先の仕事ができるということになりますので、安心して転職ができます。
次に、今回のご相談で気になるのは、【本邦の公私の機関との契約に基づいて行う】活動であるかどうか、という点です。
海外企業のリモートワークというだけでは技人国は取得できない
技術・人文知識・国際業務の在留資格は、活動内容として「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う」活動であることが求められています。
例えば、海外に本社がある法人の日本支社・支店に勤務する場合は、雇用契約などの相手方は、この海外に本社のある法人となり、この法人は「本邦の公私の機関」に該当します。しかし、日本に事業の拠点を有しない海外の法人の場合は、この「本邦の公私の機関」に該当しません。
今回の相談者様の場合、事業所などの拠点が海外のみにあって、日本国内にはない法人との契約に基づく活動(リモートワーク)であったため、技術・人文知識・国際業務の在留資格のままで、相談者様の希望を叶えることは難しそうです。(=「本邦の公私の機関との契約」に該当しない。)相談者様の状況やご意向にもよりますが、他の在留資格取得の検討をする必要がありそうです。
本業でお忙しくされている方々が在留資格の手続きについて自力で情報収集し、申請書類や必要書類を準備していくことは、かなり負担の大きな作業ではないかと思います。しかも、在留資格の手続きでは、ちょっとしたイレギュラーがあれば、上手くいかないことも多くあります。
「技術・人文知識・国際業務」のような就労系の在留資格を取得するための手続きについて、「何から手をつければ良いのかわからない」「早く就労ビザを取得できるようにサポートしてほしい」といった困りごとがございましたら、まずは詳しい専門家に相談してみることをお勧めします。当事務所でも無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。