高度専門職ビザ(高度人材)

2012年より、「高度人材ポイント制」という仕組みを通じて、高度外国人材と認められた外国人に対して、出入国在留管理上の優遇措置を講ずることにより、その受入れ促進をしようとする制度が導入されています。

このポイント制度では、高度外国人材の活動内容を、「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類し、それぞれの特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」などの項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合には、高度専門職ビザという出入国管理上の優遇された在留資格が付与されます。

高度専門職ビザには1号と2号があり、最初に取得できるのは高度専門職1号となります。高度専門職2号は高度専門職1号で3年以上活動を行っていた方が対象になります。

出入国在留管理上の優遇措置の内容は次の通りです。

① 高度専門職1号の場合

(1) 複合的な在留活動の許容
(2) 在留期間「5年」の付与
(3) 在留歴に係る永住許可要件の緩和
(4) 配偶者の就労
(5) 一定の条件の下での親の帯同
(6) 一定の条件の下での家事使用人の帯同
(7) 入国・在留手続の優先処理

② 高度専門職2号の場合

(1) 高度専門職1号の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
(2) 在留期間が無期限となる
(3) 上記①(3)から(6)までの優遇措置が受けられる

この記事では、主に高度専門職ビザの1号について、詳しく見ていきたいと思います。

当事務所では、ビザ申請専門の行政書士が、このような高度専門職ビザの申請をサポートしております。どうぞお気軽にご相談ください。

1.高度専門職ビザの要件(在留資格該当性)

1-1.高度専門職ビザ(1号)に該当する活動

入管法では、高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う活動であって、日本の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるものと規定され、次の3つの類型が規定されています。


(イ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動

大学の先生、研究者等の高度学術研究分野が該当します。


(ロ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動

ホワイトカラー職(貿易、営業、マーケティング等)等の高度専門・技術分野が該当します。


(ハ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動

企業の経営者等の高度経営・管理分野が該当します。

1-2.「高度の専門的な能力」について

単に専門的な能力ではなく、高度であることが求められています。具体的にどの程度のものであるかは、省令において、能力を図る基準が挙げられています。

1-3.「法務省令で定める基準」について

高度専門職省令に定める基準をいい、ポイント計算に係る基準が規定されています。能力を図る基準として評価項目が挙げられており、各項目における評価基準に応じた点数が定められ、その総合得点により基準適合の判断がなされることになっています。いずれの高度専門職においても70点以上の点数が求められます。

1-4.「本邦の公私の機関」とは

会社、国、地方公共団体、独立行政法人、公益法人等の法人をいいます。また、日本に事業所を有する外国の国、地方公共団体、法人も含まれます。外国人を受け入れ、在留資格に該当する活動を行わせ得るだけの態勢を整えていることが必要です。

1-5.「契約」について

特定の機関との継続的なものである必要があります。契約に基づく活動は、適法に行われるものであること、活動が継続して行われることが見込まれる必要があります。

1-6.「経営」「管理」について

会社の経営に関する重要事項の決定、業務の執行、監査の業務に従事する役員、部に相当する以上の内部組織の管理的業務に従事する管理職員など、活動実態として会社の経営・管理活動を行う者が該当します。会社の規模や役員であるかどうかは直接の要件ではありません。

2.高度専門職ビザ(1号)の要件(基準適合性)

2-1.高度専門職省令に適合すること

高度専門職省令は、ポイント計算に係る基準を規定しており、学歴、職歴、年収、研究実績等の項目ごとにポイントを設定し、その合計が70点以上であることと、高度専門職1号ロ・ハにでは、報酬年額合計が300万円以上であることが求められています。

ポイント計算表の詳細は、出入国在留管理庁リンク先のこちらをご参照ください。

https://www.moj.go.jp/isa/content/930001657.pdf

ポイント計算表

2-2.上陸許可基準1号イ又はロのいずれかに該当すること

上陸許可基準1号イ

上陸許可基準が規定されていない「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」の在留資格該当性がある活動であること。

上陸許可基準1号ロ

上陸許可基準が規定されている「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」の在留資格該当性がある活動であり、かつ各在留資格の基準適合性を満たすこと。

2-3.本邦において行おうとする活動が我が国の産業及び国民生活に与える影響等の観点から相当でないと認める場合でないこと。

上記2-2.の要件を満たしているのであれば、同時にこの2-3.の要件も満たしていると考えられるのではないかと思います。

3.高度専門職ビザ(1号)の申請の流れ

これから来日する外国人が、在留資格認定証明書の交付を申請し、高度専門職ビザ(1号)を取得する場合の流れは、次の通りです。

① 高度専門職ビザ(1号)の在留資格認定証明書交付申請

最初に、出入国在留管理局で、高度専門職ビザ(1号)の在留資格認定証明書交付申請を行います。

本業でお忙しく、申請書類作成や必要書類収集の時間が無い場合や、これらの作業に自信が無い場合は、行政書士に在書資格認留定証明書の取得を依頼してしまっても良いでしょう。

② 在留資格認定証明書を本国の申請人に送付

在留資格認定証明書が交付されたら、本国の申請人に郵送(電子メールで受け取った場合はメール送信)します。

③ 本国の在外日本公館で査証の発給申請

本国の申請人は、最寄りの日本大使館・総領事館等で、在留資格認定証明書を添付して、査証発給申請を行います。

④ 査証発給~日本へ渡航

査証が発給されたら、パスポート、査証、在留資格認定証明書をもって、日本へ渡航します。

⑤ 上陸審査

日本の空港や港で上陸の申請をし、上陸審査を受けます。

⑥ 上陸許可

上陸が許可されると、パスポートに上陸許可証が貼付され、在留カードが発行されます。上陸許可証と在留カードに記載されている在留資格や在留期間に誤りがないか、必ず確認しましょう。

4.高度専門職ビザ(1号)申請の必要書類

高度専門職ビザ(1号)を申請する場合の必要書類は下記の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付申請
  • 写真 1葉
  • 返信用封筒 1通
  • 本邦において行おうとする活動に応じた在留資格の必要資料

各在留資格の必要資料は、出入国在留管理庁のWEBサイトで確認できます。 
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/index.html

  • ポイント計算表
  • ポイント計算表の各項目に関する疎明資料

基本例は、下記の出入国在留管理庁リンク先をご参照ください。https://www.moj.go.jp/isa/content/930001668.pdf

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