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1．はじめに
日本に長く住んでこられた外国人の方の中には、帰化申請や永住ビザ（永住権）の取得をお考えの方も多くいらっしゃると思います。どちらも在留期間の制限がなくなることや、就労活動の制限がなくなることなど、いくつかの共通点があります。
それでは、帰化申請と永住ビザ（永住権）の違いは何でしょうか？この記事では、その具体的な違いについてご説明いたします。
2．帰化申請と永住ビザ（永住権）の違い
2-1．国籍について
帰化申請と永住ビザ（永住権）の一番の違いは、帰化申請は外国人が日本の国籍を取得して日本人になることです。帰化した場合は日本国籍を取得しますので、日本のパスポートを取得することができます。また、日本では二重国籍が認められておりませんので、これまで持っていた国籍を放棄しなければなりません。
永住ビザ（永住権）では国籍の変更はありません。
2-2．在留期間について
帰化申請の場合も、永住ビザ（永住権）の場合も、在留期間の制限はありません。
2-3．就労制限について
帰化申請の場合も、永住ビザ（永住権）の場合も、就労制限はありません。単純労働や風俗営業店でも仕事をすることができます。
2-4．生計要件
帰化申請の生計要件は、以前は、申請者またはその世帯の収入で、安定して生活してくことができることを証明できれば、それで大丈夫と言われていました。永住ビザ（永住権）とは異なって、帰化申請の生計要件は厳しくなかった印象があります。
ところが最近では、帰化申請の場合でも永住ビザ（永住権）の場合と同様に、年収が300万円以上必要と言われるようになっています。（扶養家族が増えると、必要年収も増えます。）
2-5．在留カードについて
永住ビザ（永住権）で日本に在留する外国人は、「永住者」という在留資格で日本に在留する外国人となりますので、在留カードを常時携帯する義務があります。この在留カードは７年ごとに更新が必要となります。
一方、帰化申請をして日本国籍を取得した場合は、在留カードを常時携帯しなければならないという煩わしさから解放されることになります。
2-6．在留資格の取消や退去強制
外国人の方が永住ビザ（永住権）を取得したといっても、「永住者」という在留資格で日本に在留する外国人であることに変わりはありません。入管法やビザ関係法令に違反したときには、在留資格の取消や退去強制の対象になる場合があります。
これに対して帰化申請をして日本国籍を取得し日本人となった場合には、在留資格の取消や退去強制の対象になることはありません。
2-7．再入国の手続き
帰化申請の場合は日本人となりますので、出国した後、自由に日本へ再入国が可能です。
永住ビザ（永住権）の場合は、みなし再入国許可の届出をしておけば、出国後1年以内（特別永住者は2年以内）に再入国する場合には、再入国許可を受けることが不要となっています。
みなし再入国許可の手続きは簡単です。出発前に空港でEDカードを入手して、みなし再入国の意思表示の欄にチェックを入れて提出するだけです。手続きは簡単ですが、在留カードが必要となりますので、パスポート、飛行機のチケットとあわせて、在留カードを忘れないように注意しましょう。
日本出国後1年以内に再入国しない場合は、永住ビザ（永住権）は消滅してしまいます。このような場合には、あらかじめ再入国許可を得ておくことが必要です。
2-8．戸籍について
帰化申請の場合は、日本国籍を取得すると戸籍を作成するようになります。
永住ビザ（永住権）の場合は、戸籍を作成することはできません。
2-9．名前について
帰化申請の場合は、戸籍を作成することに伴い、日本人として新しい名前を名乗ることができます。帰化申請をする前の名前をそのまま使用したり、通称名をそのまま使用することもできますが、まったく新しい名前をつけることもできます。その際、名前に使える文字は、法律で決められています。
永住ビザ（永住権）の場合は、名前の変更はありません。
2-10．国家公務員について
帰化申請の場合は、国家公務員になることができますが、永住ビザ（永住権）の場合は、国家公務員になることはできません。
2-11．参政権（選挙権・被選挙権）
帰化申請の場合は、参政権（選挙権・被選挙権）が認められていますが、永住ビザ（永住権）の場合は、認められていません。
2-12．日本語について
帰化申請の場合は、ある程度の日本語力が必要ですが、永住ビザ（永住権）の場合は、日本語が話せなくても永住ビザ（永住権）を取得することができます。
3．まとめ
以上、代表的な帰化申請と永住ビザ（永住権）の違いについて見てきました。一般的には、ずっと日本で住み続けるつもりであれば、帰化申請を検討した方が良いと思いますし、将来的に母国に帰ることを考えている人や、母国に頻繁に帰国するような人は永住ビザ（永住権）を取得したほうが良いと思います。
帰化申請するのか？永住ビザ（永住権）を取得するのか？
この選択は、一生に関わる大事な問題です。永住ビザ（永住権）と帰化申請の違いについてよく検討した上で、選択するようにしましょう。
また、帰化申請や永住ビザ・永住権の申請について、不安な事やわからない事がありましたら、まずは専門家に相談してみることをお勧めします。当事務所でも無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。
