技能実習生の受け入れを検討中の企業の採用担当の方の中で、技能実習生が来日して会社に配属されるまでの流れについて把握しておきたいと考える方もいらっしゃることだと思います。そこで、ここでは受入企業が団体監理型で技能実習生を受け入れるための要件、準備や技能実習生が会社に配属されるまでの一連の流れ等について詳しく解説をしていきたいと思います。
このページの目次
1.技能実習生の受入企業の要件
技能実習生を受け入れる企業様には、様々な要件を満たす必要があります。技能実習生を受け入れる場合は、技能実習計画を作成し、技能実習機構から認定を受けなければなりません。その認定の基準は次の通りです。
- 修得等をさせる技能が技能実習生の本国において修得等が困難な技能等であること
- 技能実習の目標
技能実習では、技能実習1号、2号、3号それぞれの期間において、技能検定の合格が目標とされています。 - 技能実習の内容
同一の作業の反復のみで修得できないことなど。 - 実習を実施する期間
技能実習1号は最初の1年間、2年目と3年目が技能実習2号、4年目・5年目が技能実習3号となります。 - 前段階における技能実習(第2号は第1号、第3号は第2号)の際に定めた目標が達成されていること
- 技能等の適正な評価の実施
技能を評価するために、技能検定または相当する評価試験を実施することが求められます。 - 適切な体制・事業所の設備、責任者の選任
技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を選任する必要があります。また、過去5年間に人権侵害行為や偽造・変造された文書の使用を行っていないことを確認し、技能の修得に必要な設備を備えていることが求められます。 - 許可を受けている監理団体による実習監理を受けること
- 日本人との同等報酬等、技能実習生に対する適切な待遇の確保
技能実習生の報酬が日本人と同等以上であること。また、適切な宿泊施設の確保や入国後の講習に専念するための措置を講じなければなりません。さらに、技能実習生との間で食費や居住費などの費用について適正な額で合意し、技能実習計画に明記し、技能実習生が理解したことや額が適正であることを示す書類を添付することも必要です。 - 優良要件への適合(技能実習3号の場合)
技能実習3号に移行する場合、受入企業は優良要件を満たしている必要があります。 - 技能実習生の受入れ人数の上限を超えないこと
技能実習生の受入れ人数には上限があり、それを超えてはなりません。
2.技能実習生の受け入れの流れ
下の図は法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」からの抜粋です。技能実習生の受け入れの流れについては、この中の④からの流れを追っていただけるとわかりやすいかと思います。
④ 技能実習生受け入れ申し込み
技能実習生の受け入れを検討中の企業から、監理団体へ求人の申し込みを行います。
⑤⑥ 応募・選考・決定
受け入れを希望する技能実習生の職種や人数が決まったら、監理団体が契約している外国の送出機関へ求人の募集を行います。そして、書類選考を経て現地で直接またはオンラインで面接をし、採用者を決定し雇用契約を締結します。
⑦⑧ 技能実習計画作成・申請~実習計画認定
まず雇用契約締結後、受入企業は技能実習計画書などの書類を作成し、入国予定日から約4ヶ月前に外国人技能実習機構へ技能実習計画の認定申請を行います。
技能実習計画とは、技能実習を適正に行うため、実習実施者(受入企業)が監理団体の指導に基づいて、技能実習生一人一人に作成する技能実習の計画を技能実習計画といいます。
技能実習計画認定申請時に、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を常勤役職員から選任する必要があります。
技能実習生を受け入れるための宿舎や備品を用意しておく必要があります。徒歩または自転車通勤が可能な距離で、夜間通勤にも配慮した場所の選定が望ましいです。
借り上げに要する費用に関しては、敷金・礼金・保証金・仲介手数料などの初期費用は受入企業側が負担し、家賃、光熱費は技能実習生の実費負担となります。また、家賃に加えて、管理費や共益費を技能実習生に負担してもらうことも可能です。
⑨⑩ 実習計画認定~在留資格認定証明書交付申請
技能実習計画が認定されると、認定通知書類を添付し、管轄の地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行います。審査を経て、在留資格認定証明書が交付されます。
入国準備の書類を作成している間の約4~6ヶ月間、技能実習生は現地の送出し機関による研修を受けています。日本語や日本社会の生活習慣や文化についての基礎知識を身につけます。
⑪ 在留資格認定証明書の送付
交付された在留資格認定証明書を本国にいる技能実習生に送付します。
⑫⑬ 査証申請・査証発給
在留資格認定証明書の交付後、本国の在外公館(日本大使館・領事館)で査証(ビザ)の申請を行います。審査を経て、査証が発給されます。
⑭ 入国
上陸審査を経て、上陸許可を受けて技能実習生が日本へ入国します。
⑮ 入国後講習~技能実習開始
入国後、技能実習生は具体的に実習現場で必要となる日本語、生活ルール、技能実習法や労働関係法などの法令について1ヶ月間集中的に講習を受けます。約1ヶ月間の講習修了後、役所(転入手続き)と銀行・郵便局(口座の開設)の手続きを行い、受入れ企業へ配属され、技能実習1号として技能実習を開始します。
⑯ 指導・支援
以降は、監理団体が毎月の訪問と3ヶ月に一度の監査を実施し、受入企業と実習生のフォロー、実習状況の確認を行います。
3.技能実習2号へ
入社から約6カ月後に技能検定(基礎級)を受検します。合格すると、技能実習を継続するため2、3年目の技能実習計画を作成し認定申請を行います。認定されると、技能実習1号から技能実習2号への在留資格変更の許可申請を行います。審査を経て、在留資格変更・期間更新の許可を受けます。
4.帰国又は技能実習3号へ
2、3年目の技能実習2号が修了すると、帰国するか4、5年目の技能実習3号へ移行するかを選択します。技能実習3号へ移行する場合は、技能検定3級の実技試験に合格した後、技能実習計画の認定と在留資格変更の許可を受けて、4、5年目の技能実習を行います。
※ 受入企業と監理団体の両方が優良認定を受けている必要があります。
また、技能実習3号へ移行する場合は、技能実習3号へ移行する前、または、技能実習3号を開始してから1年以内に1ヶ月以上帰国する必要があります。