特定技能「飲食料品製造業分野」で外国人を受入れる方法

特定技能「飲食料品製造業分野」で、特定技能1号外国人の受入れを検討している方は、一度この記事をご覧になってみてください。特定技能は、要件、必要書類や受入れまでのフローが複雑で、色々とゴチャゴチャしがちだと思います。この記事では、ポイントとなる部分について全てを要約し、分かりやすく解説しています。一瞬でお客様の頭の中が整理でき、お仕事の5割が片付くのではないかと思います。

特定技能1号ビザで外国人を受け入れるときには、全ての分野に適用される「分野共通の基準」の他に、各分野に特有の事情に鑑みて定められた基準である「上乗せ基準」と呼ばれる基準にも適合していなければ、外国人を受入れることはできません。

令和6年8月現在、「上乗せ基準」は12の分野について設定されており、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」といった新たに追加される分野についても、今後、準備ができ次第設定されていく予定です。

「分野共通の基準」について知りたい方は、以下のページを参照してみてください。

「分野共通の基準」に関する記事一覧
特定技能1号ビザを取得するための要件(特定技能外国人に関する基準)
定技能1号ビザを取得するための要件(特定技能雇用契約の内容の基準)
定技能1号ビザを取得するための要件(特定技能雇用契約の相手方の基準)
定技能1号ビザを取得するための要件(1号特定技能外国人支援計画に関する基準等)

特定技能「飲食料品製造業分野」の概要

特定技能「飲食料品製造業分野」の受入れ見込み数について

特定技能1号の対象分野及び業務区分一覧
出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び強制社会実現に向けた取組」(令和6年7月版)より

特定技能「飲食料品製造業分野」の令和6年度から5年間の受入れ見込み数は、139,000人となっています。受入れを予定している方、検討している方は、早めに申請しておくようにしましょう。

特定技能「飲食料品製造業分野」の仕事内容について

⇒ 分野、区分の概要 
飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工、安全衛生の確保

⇒ 従事する主な業務
・原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥などの、生産に関わる一連の作業など
(単なる選別、包装(梱包)のみの作業を行う行為は、製造・加工には該当しません。)
・業務で使う機械の安全確認や、作業者の衛生管理などの、業務上の安全衛生と食品衛生を守るための業務

また、日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。関連業務として、例えば、次のものが想定されます。(専ら関連業務に従事することは認められません。)

⇒ 想定される関連業務 
・原料の調達・受入れ
・製品の納品
・清掃
・事業所の管理の作業

総合スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行うものに限る。)及び食料品スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行うものに限る。)に該当する事業所においては、関連業務としても販売業務に従事することはできません。

特定技能「飲食料品製造業分野」の上乗せ基準

飲食料品製造業分野における「上乗せ基準」
①派遣労働者として就労させないこと
②主たる業務として日本標準産業分類に掲げる産業のうち、次のいずれかを行ってい
 ること。
 ・中分類09 食料品製造業
 ・小分類101 清涼飲料製造業
 ・小分類103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
 ・小分類104 製氷業
 ・細分類5621 総合スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行うものに限る。)
 ・細分類5811 食料品スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行うものに限る。)
 ・細分類5861 菓子小売業(製造小売)
 ・細分類5863 パン小売業(製造小売)
 ・細分類5896 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
          (ただし、豆腐・かまぼこ等加工食品の製造を行うものに限る。)
③飲食料品製造業分野の協議会の構成員であること。

飲食料品製造業分野分野では、受入れ機関から支援の委託を受けている登録支援機関も、協議会に加入することが必要となっております。

特定技能「飲食料品製造業分野」の協議会に加入する方法

特定技能「飲食料品製造業分野」の協議会構成員になるためには、以下の農林水産省ウェブサイトの加入申請フォームに必要事項を入力して送信し、後日事務局より届いたメールに、必要書類をPDF等で添付し返信してください。審査には1~2か月程度の時間がかかります。

協議会は、飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で設置しています。

⇒ 農林水産省 食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について

特定技能「飲食料品製造業分野」の技能試験

特定技能1号外国人として飲食料品製造業分野の業務に従事する場合には、飲食料品製造業分野特定技能1号技能測定試験及び日本語試験の合格等が必要となります。

試験日程、申込方法、その他情報は、以下の一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(略称:OTAFF)のホームページをご確認ください。⇒ https://otaff1.jp

技能測定試験の受験に必要な学習用テキストが公開されています。試験問題は、このテキストの範囲から出題されますので、受験される方は活用してみてください。

1号学習用テキスト ⇒ 特定技能1号 技能測定試験 国内試験案内

特定技能1号ビザの日本語試験

特定技能1号ビザを取得するためには、上記の技能試験に加えて、日本語能力を確認するための試験にも合格する必要があります。特定技能1号ビザの取得には、日本語能力試験(JLPT)でN4以上、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA2以上での合格が必要です。

「日本語能力試験 | JLPT」
https://www.jlpt.jp/index.html

「JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト」
https://www.jpf.go.jp/jft-basic/index.html

技能実習から「飲食料品製造業分野」の特定技能1号ビザへの移行

「技能実習」から「特定技能」への移行の要件は以下の2点です。この場合に、上記の飲食料品製造業分野の技能試験と日本語試験が免除されます。

①技能実習2号を良好に修了していること
②技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること

①について、「技能実習2号を良好に修了している」とは、技能実習計画に従って2年10月以上修了していることをいいます。

②について、特定技能の業務と関連がある技能実習の作業名は次の通りです。

特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業)
飲食料品製造業全般(飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類除く。)の製造・加工・安全衛生)) 缶詰巻締 缶詰巻締
食鳥処理加工業 食鳥処理加工
加熱性水産加工
食品製造業
節類製造
加熱乾製品製造
調味加工品製造
くん製品製造
非加熱性水産加工
食品製造業
塩蔵品製造
乾製品製造
発酵食品製造
調理加工品製造
生食用加工品製
水産練り製品製造 かまぼこ製品製造
牛豚食肉処理加工業 牛豚部分肉製造
ハム・ソーセージ・ベーコン製造 ハム・ソーセージ・ベーコン製造
パン製造 パン製造
そう菜製造業 そう菜加工
農産物漬物製造業 農産物漬物製造

技能実習時と異なる業務を行う場合でも、技能実習2号を良好に修了している場合には、日本語試験が免除されます。

特定技能「飲食料品製造分野」における外国人受入れまでのプロセス

ステップ①
 ・食品産業特定技能協議会への加入
  特定技能外国人が未定の場合、「特定技能外国人の受入れに関する誓約書」内の氏名、
  性別、国籍・地域、生年月日の項目は未記入でも受付可能とのことです。

ステップ②
 ・特定技能雇用契約の締結
 ・事前ガイダンスの実施、健康診断の受診など
 ・支援計画の作成

ステップ③(海外から来日する外国人の場合)
 ・地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付申請~交付
 ・在外公館に査証(ビザ)申請~発給
 ・入国

ステップ③(日本国内に在留中の外国人の場合)
 ・地方出入国在留管理局に在留資格変更の許可申請

ステップ④
入国後(在留資格変更後)遅滞なく各種支援の実施
・生活オリエンテーションの実施
・日本語学習の機会の提供など

ステップ⑤
・受入れ先での就労開始

まとめ

この記事では、特定技能「飲食料品製造業分野」で、特定技能1号ビザを取得して外国人を受け入れる時の要件や受入れまでのフローについて、ポイントとなる部分についてピックアップし、分かりやすく解説してきました。

もっと詳しい情報が知りたいという方は、以下の農林水産省のウェブサイトを参照してみてください。
⇒ 農林水産省 飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について

特定技能ビザの申請は、事前に各分野の協議会への加入が必要であったり、分野ごとの上乗せ要件に対応する必要があったり、事前準備がとても複雑です。また、特定技能ビザを申請するための申請書や必要書類の数も多く、本業でお忙しくされているお客様にとって、このような申請書の作成や必要書類の収集は、非常に煩わしく負担の大きい作業と言えます。

このような申請に係る必要書類を適切に作成することはもちろん、ご要望に応じて特定技能の受入れ準備のコンサルティングや各種手続きも、専門の行政書士に安心してお任せいただけます。登録支援機関や特定技能外国人の雇用を検討中の経営者の方、ご担当者の方、お困りの方、まずは気軽にご相談下さい。

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。

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